RAGにおけるナレッジベースの仕組み:インデックス、検索、Rerankの関係をわかりやすく解説

2024年10月11日
2024年11月02日
Shumpei Okanoue / Noviq Inc.代表
Shumpei Okanoue / Noviq Inc.代表
RAGにおけるナレッジベースの仕組み:インデックス、検索、Rerankの関係をわかりやすく解説

1. RAGにおけるナレッジベースの仕組み

RAG(Retrieval-Augmented Generation)は、AIが質問に答える際に外部の情報源(ナレッジベース)を活用する仕組みです。ここでは、ナレッジベースの中で「インデックス」、「検索」、「Rerank」がどのように連携して回答を生成するのか、分かりやすく説明します。

1.1 ナレッジベースとは?

ナレッジベースは、質問に答えるための情報が集められたデータの集まりです。例えば、企業のFAQ、マニュアル、記事などが含まれます。このナレッジベースを効率的に活用するために、以下の3つのステップが重要になります。

1.2 インデックス(Index)

インデックスは、本の目次のような役割を果たします。大量の情報から必要な部分を素早く見つけ出すための「目印」を作るプロセスです。

  • 具体例:

    • 本のページごとにキーワードをリスト化し、特定のキーワードがどのページにあるかを整理します。
    • デジタルでは、テキストデータを解析して、重要なキーワードやフレーズを抽出し、それぞれの位置を整理します。
  • 目的:

    • AI自身が質問に対して関連する情報を素早く見つけ出すための準備をするため。

1.3 検索(Search)

検索は、インデックスを使って実際に情報を探すステップです。ユーザーの質問に対して、ナレッジベースから関連性の高い情報を見つけます。

  • 具体例:

    • ユーザーが「製品の使い方を教えて」と質問した場合、インデックスを使って「製品の使い方」に関連するページやセクションを探します。
    • ベクトル検索では、質問とナレッジベースのテキストを数値化(ベクトル化)し、類似度を計算して関連性の高い情報を選択します。
  • ポイント:

    • 検索結果は、複数の関連する情報が抽出されるため、後続のステップでそれらを再整理することが重要になってきます。

1.4 Rerank(リランク)

Rerankは、検索で見つけた情報の中から最も適切なものを優先順位付けするプロセスです。イメージとしては、図書館で見つけた複数の本の中から自分の疑問や知りたいことの解決に一番役立つ本を選ぶようなイメージになります。

  • 具体例:

    • 検索結果として5つの関連ページが見つかった場合、それらを内容の関連性や信頼性に基づいて再評価し、最も適切な順に並べ替えます。
    • Rerankモデルは、AIがどの情報が質問に最も適しているかを判断し、順位を付けます。
  • 目的:

    • ユーザーにとって一番有用な情報を最上位に表示することで、回答の精度と満足度を向上させるため。

1.5 全体の流れ

  1. インデックス作成:

    • ナレッジベース内の全ての情報を解析し、検索可能な形に整理します。
  2. 検索実行:

    • ユーザーの質問を基に、インデックスを利用して関連する情報を検索します。
  3. Rerank:

    • 検索結果を評価し、最も重要度の高い情報を優先順位付けします。
  4. 回答生成:

    • Rerankされた情報を元に、AIがユーザーの質問に対する回答を生成します。

2 身近な例で理解を深める

: 自社が開発するスマートフォンについてのユーザーからの質問に答えるAI

  • 質問: 「新しいスマートフォンのバッテリー寿命はどれくらいですか?」

  • インデックス:

    • 製品仕様書、ユーザーマニュアル、FAQ、レビュー記事などから「バッテリー寿命」に関連する部分を目次化。
  • 検索:

    • インデックスを基に、「バッテリー寿命」に関する情報を抽出。例えば、説明書の5ページ目、よくある質問の3つ目など。
  • Rerank:

    • 抽出された情報を評価し、一番正確でストレートに質問に答えている情報を一番最初に持ってきます。
  • 回答生成:

    • Rerankで処理された情報を基に、「新しいスマートフォンのバッテリー寿命は約24時間です」といった具体的な回答を生成します。

3. ナレッジベースとRAGの統合運用

Difyを活用して、ナレッジベースとRAGの仕組みを組み合わせることで、情報の管理とAIの回答の精度をより高めることができます。

3.1 効率的な情報管理の実現

Difyのナレッジベース機能を使用することで、企業内の膨大なドキュメントやデータをAIが使いやすい形で管理することが可能です。セグメンテーションとクリーニング、ETLオプションを活用することで、それぞれの情報の仕分けや成形し、検索効率を高めることが可能です。

  • 一元管理: 一つのナレッジベースで関連するドキュメントを管理。
  • データ品質向上: データクリーニングすることで、不要なノイズを減らし、重要なデータを可視化。
  • 柔軟なインデックス設定: アプリケーションのシナリオに応じたインデックス方式を選択することで適切な検索結果の抽出を実現。

3.2 AIの回答精度の向上を実現

DifyなどのRAGの仕組みを導入することで、ナレッジベースから得られる情報を元に、AIが正確な回答をすることができます。インデックス、検索、Rerankの各プロセスが進むことで、ユーザーの課題を解決する情報を抽出し回答できます。

  • 関連性の高い情報抽出: ベクトル検索や全文検索を駆使して、質問に最も関連する情報を迅速に取得。
  • 最適な回答の選定: Rerankモデルにより、検索結果から最も適切な情報を優先的に選択。
  • ユーザー満足度の向上: 精度の高い回答提供により、ユーザーの満足度と信頼性を向上。

3.3 実践的な活用例

ケーススタディ: カスタマーサポートの強化

  1. ナレッジベースの構築:

    • FAQ、マニュアル、サポート記事をDifyにアップロード。
    • セグメンテーションとクリーニングを適用し、検索効率を最適化。
  2. RAGの導入:

    • カスタマーサポートチャットにRAGを組み込み、ユーザーからの質問に対してナレッジベースから最適な情報を抽出・提供。
  3. 運用結果:

    • 回答精度の向上により、ユーザーからの問い合わせ対応時間が短縮。
    • サポートコストの削減と顧客満足度の向上を実現。

3. まとめ

本記事では、ナレッジベースの情報をAIがどのように処理するか、さらにDifyを活用したナレッジベースの作成・管理方法について詳しく解説しました。これらをうまく組み合わせることで、高精度な回答生成が実現できます。

弊社では、生成AI使い方がわからない、Dify使ってみたけど思うようにうまくいかない、そんな方にDifyのセットアップやワークフロー構築などの支援が可能です。ご興味をお持ちいただければ問い合わせよりお気軽にご相談お待ちしております。

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